
もくじ
- 恐ろしい!ドーピングのやり方とは?事例を踏まえてご紹介
- 日々変化・進化する?!ドーピング方法
- 各スポーツ・競技ごとのドーピング事情まとめ
- 過去にドーピングに手を出してしまった有名選手
- 想像を超える!ドーピングの副作用とは?
- ドーピングが体に与える影響や効果
- 風邪薬・サプリメント・エナジードリンク。 身近で意外な禁止薬物
- 意識的ドーピング、無意識的ドーピング。未来のドーピング。その本質とは?
- あわせて読みたい記事はこちら!
恐ろしい!ドーピングのやり方とは?事例を踏まえてご紹介

ドーピングの例として、元ロードレーサーのタイラー・ハミルトン選手のケースを挙げていきます。彼はどうしても成績が伸びなかったとき、チームの医師たちに大会までのドーピングのスケジュールが作らせました。そこには、使う薬の量と時間、注射をする場所など、細かい指示が書かれていました。また、薬の使用を10日前にやめることで、検査に引っかからずに、大会当日に効果が出るよう計算されていたのです。
さらに、タイラー選手は『血液ドーピング』にも手を出していました。血液ドーピングとは、大会前に採血し、体内の血液が採血前の量に戻るまで、その血液を保存しておきます。採血する前の量に戻ったら、大会直前に、保存しておいた血液を体に戻します。血液量を増やすことで、酸素を運ぶ赤血球の量が増え、一時的に持久力を上げることができるのです。
日々変化・進化する?!ドーピング方法
血液ドーピング
血液ドーピングは上に書いた方法で、持久力を一時的に上げるドーピングです。薬を使わずに、自分の血液で行うドーピングなので、血液検査でも発見するのが難しいそうです。しかし、この血液ドーピングには大きな副作用が出てきます。体内の鉄分が増えすぎることで、心不全や肝炎などの病気になるリスクが非常に高くなるのです。
尿ドーピング
ドーピングで使われた薬物は、尿から薬を使った跡を見つけることで、ドーピングを発見できます。しかし、尿ドーピングは、ドーピングしていない人の尿をアスリートの膀胱に入れることで、証拠を消してしまいます。尿道からカテーテルを入れたり、注射器で膀胱へ尿を入れるなどして、検査から逃れてしまうテクニックです。
中絶ドーピング
女性アスリートがわざと妊娠し、妊娠初期に出るホルモンの働きを利用して、トレーニングを行うドーピングです。妊娠初期は、筋肉の材料になるタンパク質を作るホルモンがたくさん出ます。そのホルモンの働きを利用して、トレーニングを行います。ある程度時期が過ぎたら中絶し、検査のときにはホルモンの値が元に戻っているので、検査をすり抜けてしまうのです。
各スポーツ・競技ごとのドーピング事情まとめ

スポーツ界で一番厳しい?!テニス界のドーピング検査とは?
色々な競技の中でも、テニスのドーピング検査は非常に厳しいと言われています。例えば、向こう3か月先の滞在先を逐一報告する義務があり、抜き打ちでいつでもどこでもドーピング検査を行えるようになっています。
錦織圭選手はランキング10位以内に入ってからは年に数回、グランドスラムでは毎回ドーピング検査が実施されると語っています。
また、選手が確実にいる時間帯に、調査員が訪ねて来るので、夜遅くや早朝に調査員が来ることもあるようです。クルム伊達公子選手は、夜中に調査員が抜き打ち検査をしにきて、なかなか寝かせてもらえなかったというエピソードもあります。
スポーツ界で一番緩いドーピング検査は相撲界?!
対して、検査が緩い競技は相撲で、ドーピング検査自体を行っていません。以前、隆の山関のドーピングが発覚した時、相撲界にもドーピング検査を導入しようという話がありました。しかし、ドーピングに関する講習会が行われただけで、現在でもドーピング検査は行われていないようです。
サッカー界のドーピング事情とは?ワールドカップは?

特にヨーロッパを中心とするリーグで脱税報道が賑やかなサッカー界ですが、ドーピング検査も同様に行われています。ネイマール、メッシ、クリスティアーノ・ロナウド選手のようなビッグネームでのドーピング報道はありませんね。
ただ、試合前後で抜き打ちでドーピング検査は実施されており、ヨーロッパNo.1を決めるチャンピオンズリーグ(CL)決勝でユベントスと対戦するバルセロナに抜き打ちでドーピング検査が入ったことも有名です。あまりサッカー選手で報道されることはありませんが、定期的に出場停止処分などが下される選手はいます。
2018年ロシアワールドカップの前哨戦にあたるコンフェデ杯開催時にロシアの組織的ドーピングが発覚しました。その結果FIFAはワールドカップに開催国枠で出場するロシアチームに調査を入れており、史上初の開催国不参加という事態にも発展しています。
ようやく厳しくなってきた?野球界のドーピングとは。
アメリカメジャーリーグベースボール(MLB)では2000年以降、非常に厳しくなっており、日本人メジャーリーガーもtwitterなどでその厳しさに驚きの報告をしてくれています。これまでの日本プロ野球機構(NPB)は正直無法地帯でした。世界反ドーピング機関(WADA)には加盟せず、独自の基準で選手としては数年に1回検査を受けるという程度だったのです。ところが、近年オリンピックに全プロ選手で臨んだり、東京オリンピックで野球が正式種目に追加されたこともあり、2017年にはWDAに準じた検査を実施することを発表しました。しかし、ドーピング検査に関わる費用はNPBや各球団が負担しないといけないこと、ヒーローインタビューや取材に影響が出るなど、まだまだ難色を示す関係者は多いようです。
過去にドーピングに手を出してしまった有名選手

過去にドーピングに手を出した最も有名な人と言えば、男子陸上100M走の選手だった、ベン・ジョンソンでしょう。彼は、1988年のソウルオリンピックで、当時の100Mの世界記録を更新して優勝しました。
しかし、競技後の検査で、『ステロイド』の陽性反応が出てしまい、世界記録と共に金メダルも剥奪されました。その後、出場停止処分が明け復帰しましたが、またもやドーピング反応が出てしまい、陸上界から事実上永久追放になってしまいました。
最近だと、スピードスケート・ショートトラック男子の斎藤慧選手が平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)のドーピング検査で陽性反応を示したことでも話題になりました。ドーピング検査を避けるマスキング剤とされる利尿薬アセタゾラミドに反応したとのことですが、「コンタクトレンズの保存液」が原因なのでは?と釈明をしており、本当にドーピング検査とは厳しいものですね・・・。
元プロ野球選手の清原和博選手、野村貴仁選手が、ドーピングをしていたことも野球好きの方には有名でしょう。この二人は、『グリーニー』という薬を使用していました。グリーニーは、日本では規制されていませんが、覚せい剤の一種で、強い副作用も出てくる薬物です。厚生労働省は、医師の適切な指導のもとに使用しないと、健康被害のおそれがある未承認の医薬品、として扱っています。
想像を超える!ドーピングの副作用とは?
突然ですが、この二人の関係は何でしょう?
夫婦?カップル?そう思った方も多いのではないでしょうか。
でも実は両方アンドレアス・クリーガーさんの写真で「同一人物」なのです。
ドーピングの副作用で人はここまで変わってしまいます
アンドレアス・クリーガーさんは東ドイツの女子砲丸投げ選手で、1986年にヨーロッパチャンピオンシップで金メダルを取るほどのアスリートでした。
でも驚愕なことに、東ドイツはアンドレアス・クリーガーさんにドーピングの薬を本人に内緒で投与していたのです。
その薬は筋肉増量のできる「テストステロン(男性ホルモン)」のステロイド系薬物という禁止薬物でした。
男性ホルモンを含む禁止薬物の恐怖の作用とは...
アンドレアス・クリーガーさんの体で一体何が起きているのでしょうか。
ドーピングに使われた男性ホルモンは、コレステロールからできるので脂です。肝臓での分解もありますが、だいたい脂は体に蓄積してしまいます。
生体において”蓄積”は重い病気につながることが多く、アルツハイマー病、パーキンソン病なども実は”蓄積”によって引き起こされます。
今回、ドーピング薬に含まれていた男性ホルモンの蓄積は、筋肉や心臓だけでなく、神経へも作用して精神も男性化させてしまいました。
結果的にアンドレアス・クリーガーさんは選手を引退したのちに、性転換して男性になりました。
当時のメディアでは本人の意思で男性に性転換したと報道していますが、実はその精神にさせたのもドーピングのせいなのです。
ドーピングが体に与える影響や効果
スポーツするときに使うドーピングが、実際に体にどんな影響を与えるのかを5つにまとめました。

ドーピングって要するに、体をどうしているの?
運動能力の向上を目的としたドーピング。実はドーピングの薬によって体に及ぼす作用は、おおまかに5つくらいに分けられるほど単純なのです。
①気管を広げる!
運動すると酸素がなくなってしまうので、気管を広げてより多くの酸素を取り入れます。風邪薬はだいたいドーピング対象になってしまうので注意が必要です。
②エネルギー作りを活発にする!
運動前にドーピングして、運動に必要な栄養分をいっぱい蓄えます。
③筋肉がつきやすくする!
男性ホルモンの摂取で根本から体つきを筋肉質にします。プロテインはだいたいセーフですが、滋養強壮薬に注意が必要です。
④血流量を上げる!
酸素を運ぶ赤血球をいっぱい作って、血管を広げて酸素を届けやすい環境を作ることで、体に栄養と酸素が行き届きやすくなります。
⑤活発化する交感神経を刺激する!
交感神経が活発になると出るのがアドレナリンです。コーヒーなどに含まれるカフェインは多すぎなければ大丈夫です。
5つくらいしか影響がないのにドーピングの方法はいっぱいあります!
体の変化自体は単純でも、ドーピングによる変化のさせ方はいっぱいあるんです。
人間には血流量や交感神経を上げる作用があるだけでなく、下げる作用もあります。下げる作用を完全に止める、上げる作用のある物質を入れる、上昇に必要な環境を作るなどさまざまな方法があります。なので、ドーピングの種類や逃げ道がいっぱいあります。
ドーピングしていても負けるのってなんで?
あくまでドーピングによってできることは、筋肉をつけやすくする、体を運動に適したかたちにするといったことです。
確かに運動をするのに有利になっていることには間違いないですが、それには限界があります。
なので、これを上回る筋トレや、パフォーマンスを上げるトレーニングをしている選手には勝てません。
風邪薬・サプリメント・エナジードリンク。 身近で意外な禁止薬物
わざとでない「うっかりドーピング」が日本では増加中です。風邪薬で法に引っかかり陽性になることも多く、度々ニュースになっていますね。

市販薬はNGなことが多い
頭痛、腹痛、熱や風邪などになったときによく飲む薬はだいたい決まっていますよね。漢方薬やバファリン、ルルアタック、ベンザブロックのようなCMなどで聞く薬です。実はこれらの市販薬は「メチルエフェドリン」を含んでいることが多く、ドーピングの対象になってしまうことがあります。アスリートの方でもし体調を崩してしまった場合は、体調管理により治癒させるか、専門薬剤師のスポーツファーマシストへの相談によって適切な薬を使いましょう。
多くの栄養補給のサプリメントはOK
短時間で栄養を取るときのカロリーメイトやウイダー、筋トレ後のプロテイン、運動前のアミノバイタルなどはセーフなことが多いです。
でも注意したいのは外国製のものです。海外で売られているものは評判のために書いていないだけという場合もあるのであまりおすすめはしません。
レッドブルやモンスターなどの栄養ドリンク剤は要注意!
皆さんも一度は飲んだことのあるコーヒーやレッドブル・モンスターなどの栄養ドリンクでお馴染みのカフェインも、過去は興奮剤の一種としてドーピングの監視対象となっていました。ただ2004年に世界ドーピング防止機構(WADA)は、カフェインを禁止薬物のリストから外し、規制はされていません。しかし、今後ドーピングで使われないように、監視する必要のある物質として扱われています。
JADA(日本アンチ・ドーピング機構)で最終確認をお忘れなく!
一般的なものをご紹介しましたが、禁止薬物は日々変更していきます。詳しくは「JADA(日本アンチ・ドーピング機構)」の公式サイトから禁止薬物に指定されていないか検索ができるので気になる方はチェックしてみてください。
・薬の確認方法などがわからない場合は専門家に相談
JADA公認スポーツファーマシストを検索
・禁止薬物かどうか調べたい場合は「検索サイト」へ
禁止表国際基準にもとづいた検索サイト
意識的ドーピング、無意識的ドーピング。未来のドーピング。その本質とは?

私たちが日常的に使う、風邪薬や塗り薬やサプリメントにも禁止薬物は含まれています。毎日口にするものは、成分を確認しながら摂取しておかないと、抜き打ちで検査が入ってしまうのです。
ロシアのような国ぐるみの組織的に意識的にドーピングをするという行為は許されませんが、無意識的に、意図せずドーピングに引っ掛かってしまった選手を単純につるし上げにするのも考え直す必要があるのかもしれません。
このように、アスリートは人一倍食事に気を遣わなければなりませんが、実際にどんな食事をしているのでしょう?気になる方は下記の記事をどうぞ。
『即実践!アスリートの朝ごはんで健康体作り!』
http://spoit.me/posts/athlete_breakfast
ドーピング検査とは”アスリート”としての自意識を確認する検査
スポーツというものがよりグローバルに、ビジネスへと成長していくほど、ドーピング検査は強化しなければなりません。なぜならスポーツが楽しいのはルールがあるからです。何をやってもOK!というルールのスポーツを観戦・応援していても面白くありません。
これまではスポーツを円滑にかつ公平に進めるうえでの競技ルールだけでも大丈夫でした。その国で、地域で、自分たちが楽しむだけものだったから。しかし、近年はインターネットを使って一瞬で世界中にアクセスできるようになりました。そして、自分たちで楽しむということだけに収まらず、国対国の戦いであったり、国をまたいでの移籍など、多額の契約金や報酬が発生するようになり、スポーツだけで地位と名誉を得られる時代になりました。そうなればより平等に基準・ルールを徹底しないと不公平ですよね。
スポーツの試合を公平かつ円滑に進めるための競技ルールを根付かせたのが20世紀だとすると、21世紀はスポーツに参加する選手たちがより公平な舞台に立つためのルールを根付かせる時代になるでしょう。
ドーピング検査とは、違反薬物を使用して身体能力を向上させることはもちろんですが、その本質は、選手自身がスポーツを生業にするというアスリートとしての自覚検査なのではないでしょうか?
「違反薬物を使用しない」ということを議論するというより、厳しいドーピング検査基準のルールをしっかり理解し、それを守り、競技に励んできたのか?というアスリートとしての自意識と自己管理をしっかりできているかを私たちは見抜く必要があるのかもしれません。
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